筋膜のつながりとは
「筋膜」とは簡単に言えば、筋肉の膜のことです。
全身をめぐっており、私たちが身体を動かそうとするとき、または姿勢を維持するとき、とても重要な働きをしています。
また、身体の表層にも「筋膜」はあります。それは、皮膚のすぐ下に、ぴったりとした全身のボディースーツを着ていることを想像してみてください。
その筋膜には「つながり」があります。
上の赤い部分は、腕や脚を前方向に動かしたり、前屈したりするときに使う
筋膜の【前方運動のつながり】
です。
例えば、A点(●)に継続的な負荷かかかったことによってトリガーポイントが生じたとします。
A点がトリガーポイントにより硬くなり、動きが悪くなることでこの筋膜のつながりは、正常にスムースな動きができない状態になります。
するとこのつながり全体によじれやねじれが生じ、やがては同じつながり上の別の点、例えばB点(●)に新たなトリガーポイントを生じさせてしまいます。(あくまで例なので、つながりを介して、どこにでも新たなトリガーポイントができる可能性があります。)
さらに下の図はまた別のつながりで、腕や脚を内側に回したり、体幹を内側に回したりするときに使う
筋膜の【内旋運動のつながり】
です。
例えば身体を左側に回そうとするときは、右半身を身体の中心に向かって内側に回すことになりますので、右側の内旋運動のつながりを使うことになります。
2つのつながりを重ねてみます。
部分的に重なり合っているのが分かりますよね。
すると…
このように、A点、B点による【前方運動のつながり】のよじれ、ねじれは、さらに影響の範囲を広げ、重なり合う【内旋運動のつながり】上の、例えばC点(●)にトリガーポイントを生じさせることもあり得ます。
筋膜のつながりは、より複雑なものも含めてこの他にも存在しますので、
このような状態を放置していると、複数の筋膜のつながりを介し、一か所のダメージからやがて新たなダメージを次々と連鎖的に生じさせてしまうのです。
症状歴の長い方が改善までに期間を要してしまう傾向があるのも、長い期間をかけてこのような連鎖が複雑に生じていることが多いということも大きな原因であると考えられます。